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コーチング

杉山栄作 プロコーチとしての活動のご紹介
「保険業界変革」プロジェクトの一環でソニー生命のライフプランナー向けにワークショップをシリーズで行なってきました。そのワークショップに参画したコーチ仲間との座談会が新聞(保険情報)に掲載されましたのでその内容をご紹介します。

「保険情報」2005年1月7日(金)掲載


ここ数年、日本のビジネスシーンでも普及してきたコーチングではあるが、どちらかといえば、「管理職のための新しいマネジメント手法」という側面が強かった。しかし、コーチングの本来の目的の1つは、クライアントが自分の価値観に沿って幸せに生きるために100%の支援をすることにあり、ビジネスでの成功などは、あくまでその結果であるように思う。そこで、ここでは「保険営業マンのためのコーチングとワークショップの可能性」と題し、コーチ8人による座談会を企画した。集まってくれたのは、コーチ養成機関として世界的に評価の高いCTIのコーアクティブ・コーチングを学んだコーチたちであり、彼らは03年から主にソニー生命のライフプランナーを対象としたワークショップを継続的に開催している(=主宰はソニー生命のライフプランナー杉山栄作氏)。彼らに、保険営業マンがコーチングあるいはワークショップを受けることの意義などについて語ってもらった。自分の進む方向性について迷いがある人には、極めて重要なヒントがあふれているはずだ。まずはワークショップの話題からお届けしよう。

       (取材・構成=津田秀晴)


 杉山さんは、主にソニー生命のライフプランナー向けのワークショップ(=以下、WS)を、03年7月から04年10月にかけて4回シリーズで開催したわけですが、その意図はどこにあったのですか。

 杉山 当時、私はリーダーシッププログラムという研修をアメリカで受けていましたが、その過程で作り上げた自分の人生プロジェクトである「日本の保険業界を変革したい」という思いを、まずは身近なところから呼びかけてみようと思ったんです。
 また、自分の周り(所属支社)にはとても素直な人たちが揃っていて、この素直さがあれば彼らはもっと伸びるはずだと感じていました。
 さらに、人間というのは、自分一人のことならすぐ諦めることも、皆で約束したことについてはそう簡単に諦められないところがあるので、ワークショップを通じてチームワークを作ってみたらどうなるだろうかという期待感がありました。もっとも、「一人で戦っているのではない」という実感を一番求めていたのは、実は私自身だったのかもしれませんが……。

 ─実際に開催してみた印象は? この座談会を欠席されているコーチも含めて、皆さんのうち毎回2人がリード役を務め、他の人はアシスタントをしていましたね。

 杉山 初めて開催した時には、参加者たちの、ライフプランナーとしての真摯な姿勢に、正直こちら側がびっくりしました。そして、これをさらに続けていったらどうなるのだろう? という興味が出てきたんです。
 もちろん、自分も一人のライフプランナーとして受けてみたいと思ったので、2回目(03年11月)、3回目(04年5月)は、自分はリーダーではなく、参加者の側に回りました。

 ─計4回のWSでは、どんなことをテーマにしているのですか。高橋さんは、杉山さんと一緒に第1回目をリードしていますね。

 高橋 「オンリーワンになるために」をテーマにしました。ライフプランナー、営業所長の方たちが、自分という唯一の素材を知り、それぞれの信念をしっかりと持って仕事で活かしていただくことを意図していました。信念を持つことが結果を生むという杉山さんの経験に基き、参加していただいた方々に自分の答えを探ってもらいました。

 ─野村さんは?

 野村 私と平川さんがリードした2回目に依頼されたのは、「これから始まる6週間のコンテストに向けてのモチベーションアップ」でした。また、ライフプランナーの皆さんは凄く良い素材を持っているのにそれが十分に生かされていない現状に対して、そのことに気づくきっかけになる場にしてほしいとも言われていました。

 ─宮本さんがリードした3回目は?

 宮本 「自分の可能性を再発見して、新たなスタートをきる」をテーマに開催しました。
 自分を抑え込む枠の存在に気付いたり、ライフプランナーとして、人として自分の熱い部分にアクセスし、リ・スタートできるようプログラムを構成しました。

 ─私(津田)も参加させてもらった04年10月の4回目のテーマは、「自分を信じる。他人を信じる」だったそうですね。内容は話せませんが、想像以上にハードなものでした。あれは単なる研修会のつもりで出たら、途中で帰りたくなるかもしれない。その分、得るものはお金には換えられない価値があると思いました。どうしてあそこまで深く踏み込む内容にしたのですか?

 杉山 3回目までを終えて、社内では「あのWSに参加しさえすればコンテストに入賞できる」という声もありました。そのこと自体は喜ばしいことですが、その一方で、参加者がそこに頼るような雰囲気があって、WS自体が、参加することが目的であるかのような、単なる「楽しいもの」になってきてしまっていたんです。
 そこで4回目は、「半端な姿勢は許さない」という前提で臨みました。 参加者にも事前に「途中で逃げ出さないように」と何度も念を押しました(笑)。

 ─一連のWSを通じて特に印象に残っていることは何ですか?  参加者全員での約束である守秘義務の関係で、具体的な内容については言えないことも多いと思いますが……。

 杉山 第2回で実施したエクササイズの1つに、〈YES・NOゲーム〉のようなものがありました。リーダーが出した質問の答えによって、それぞれ〈YES〉と〈NO〉のエリアに移動するのですが、「今の仕事が自分の天職だと思いますか?」という問いに、参加者たちが本当に躊躇なく「YES」に歩いていったシーンがあり、アシスタントを務めていたメンバーがびっくりしていました。

 垂水  アシスタントとして参加していましたが、自分の仕事について天職だと思える人間が集まっているんだな、と感じました。私はサラリーマンをしていますが、自分の会社でこれをやったら、何人が躊躇なく「YES」と言うかなと思いましたね。

 ─野村さんはその時のリーダーでしたが。

 野村 そのYES・NOゲームで出した問いかけは、こちらが躊躇するほどチャレンジングな内容でしたが、自分の中に問いを持って入ってくれて、自分をごまかすことのない、本当に素直な人たちだったのが印象深いですね。何歳になっても素直さを持っていることの素晴らしさを感じさせてもらいました。

 ─宮本さんの印象は?

 宮本 皆さんとても真面目だな、と思いました。その場で起きている出来事や、自分の心の中に起こっていることに対して、真正面から向き合っていた姿が印象深いです。ああいう場というのは、実はいくらでもごまかすことができて、その場だけで済ますことはできますが、どの回を見ても皆さんが真摯に参加していたという印象ですね。

 ─それは他のWSと比べて?

 宮本 私はそれほど多くWSの運営にかかわっているわけではありませんが、ライフプランナーの場合は、どのくらい深くWSに入るか、どのくらいこのWSを利用しようとしているか、という部分で、コミットが強いように思います。


 ─他にはどうですか。

 野村 ライフプランナーの方々は日々楽しむことを知っているな、と感じた一方で、「楽しい」というオブラートの中で隠している自分の本音が、ワークショップを通して炙り出されたような気がします。
 独立している人たちなので、弱みとかしんどさをなかなか口に出せないのでしょうが、WSが本音を出せる場になったことで参加者の肩の荷をほんのちょっとでも降ろすお手伝いができたのかなと思います。

 杉山 ワークショップでは、安全なスペースを作るために必ず守秘義務を守ってもらいます。その中ではいろいろなエクササイズを通して本音が出てくるわけで、そういう部分が深い連帯感を生んだと思います。
 


 平川 これは終わった後に改めて感じたことですが、元々参加者の一人ひとりが自分の足で立っている・立ってきた人が集まっていたんだな、ということです。職業柄かもしれませんが、お互い依存し合っていないというか、それぞれに深く思い悩みながらも〈自分のことを自分で決めてきた・今も決めている〉人たちが集まっていたような気がします。これは他で行ったWSと比べてもかなり印象的でした。
 WSを開催したのはコンテストの前でしたが、「そのコンテストにいかに臨むことが、一番自分に正直(誠実)なのか?」という問いに対する答えが徐々に形になってくるにつれて、みんなが元気になっていきました。その元気な部分が良い連鎖を呼んだり、逆に、まだ動いていない人も「まだやってないんだ」と正直に本音を出せたり……。そして、今のそれぞれの参加者の位置を確認するプロセスを通じて、徐々にその人の一番正直なところにアクセスができ、その結果自らコンテストにコミットし、最終的に入賞できたりしたようです。

 ─継続して開催したことの結果についてはどう感じますか。

 高橋 継続したことに意味があったと思います。参加者の中には、私の個人的なクライアントさんもいらしたのですが、そのWSでの気づきは、大きくその方の仕事に影響しているようでした。
 継続開催することで、その都度、今の立ち位置を確認し、仲間との連帯感を感じながら現場で活かすという好循環ができていたのではないでしょうか。

 島崎 私はそうやって継続してきた会の最終回を担当させていただきましたが、これまでの流れがあったからこそ、そして少しずつ地盤を緩めて掘り下げてきたからこそ、最後に誰一人アウトせずに深く入っていけたのかなと思います。

 杉山 最終回には、他社のトップセールスレディや営業マンが3人入ってくれて、計4社の人間でやったわけですが、同僚たちも刺激を受けたようです。
 それまではソニー生命の中だけの結束だったのが、今はもっと大きな視点で見られるようになり、〈保険業界は1つ〉というか、ライバルだと思っていたところが、実はライバルではなかったことに気づいたんですね。

 ─この仕事を選ぶ人は、サラリーマンよりも自分の足で立っているところがあり、また、仕事に対する思いが強い人たちであることはわかります。本来はそういう素晴らしいものを持っているのに上手くいかない現状があり、また、現状の殻を破れないということに対して、WSが気づきの場となったということでしょうか。

 杉山 コーチングの目的の一つに「その人の価値観に合った生き方をする」というものがありますが、それをライフプランナーの仕事に当てはめると、「自分の価値観に合った営業スタイルを見つける」ということになります。
 一連のWSのテーマであった「信念に杭を打ち込む」ということにもつながるけれども、新人の場合、最初はその会社の販売手法を学ぶわけで、「自分の価値観から販売手法を考えろ」とはあまり言われないと思います。
 そこで、試行錯誤しながら「自分の価値観に合った営業スタイル」を見つけられる人もいるし、見つけられない人もいます。そういう意味では、WSに参加した人は、それを見つけているような気がします。

 野村 WSは自分にしかできない営業スタイルというものをもう一度確認する場になったとも思います。
 また、プロの営業では、「辛い」とか「実はテレアポが嫌いだ」とか、言ってはいけない言葉がいろいろありますが、それが凄いストレスになっている。もともとはセールスが好きだったはずなのに楽しくなくなっているようにも感じました。変な言い方をするとWSがガス抜きの場にもなっているのかな、と。

 高橋 弱音を吐いたらその溝にはまってしまい、二度と立ち上がれないのではないか、という恐怖があるようで、弱音を吐くなんてことを一切考えずに頑張ってこられたようです。
 WSを通じて、皆同じような悩みを抱えていることが分かり、連帯感が生まれたように感じます。一人で頑張らずに相談してみよう、という土壌作りのきっかけになっていれば嬉しく思います。

 平川 WSでは、何かをレクチャーするということは一切ないんです。むしろ、その人の中にある題材を自分から出すことで皆が学び、それによって私たちも学ばせてもらっている場といえるかもしれません。


 ─後半は「コーチングとはどういうものか」、「コーチングの考え方を身に付けることの効用」などについてうかがっていきたいのですが。まず、島崎さんはどんなきっかけでコーチングを学び始めたのですか。

 島崎 私は以前、玩具メーカーで人事の仕事をしていました。社員の皆さんから、自分のキャリアに関することから家族のことまで様々な相談を受ける機会が多かったわけですが、気持ちを吐き出してすっきりしてもらうだけでなく、自分自身でどうしたらいいのかを考え、行動に移せるようサポートができればいいなと感じていました。
 そんな時に、友人からCTIジャパンが開催しているコーチ養成のための公開コースを紹介してもらい参加したのですが、すぐに「これだ!」と思いましたね。ですから、私の場合は、「社員に元気になって欲しい、社員のためになるのであれば……」という気持ちから始まったコーチ道です。
 今感じるのは、チームのリーダーの方や何か指導をされる立場の方に知って欲しい……、そんな気持ちがあります。保険業界にも、企業として興味を持ってもらえたらと思います。

 ─島崎さんにとって、コーチングとは何ですか。

 島崎 誰の中にでもある「生きる力」を最大限に引き出し合うコミュニケーション手法の1つと感じています。人は皆、より良く生きたいと願っていると思います。ただ、それには自分を信じる力だったり、相手を信じる力だったり、勇気やチャレンジといった生きるための力が必要となります。その力を養う道場のようなものでしょうか。
ただ、コーチングの良いところは双方向にかかわり合うところで、一般的に、クライアントの力を引き出すとか、引き出されるなどとよく言われますが、実はコーチもクライアントと真摯に向き合う中で自分でも驚くくらいに力が出てくる、パワフルになるということが多々あります。
 そこには、どちらに依存するでもなく、双方が自立した関係にあるわけで、人が本来望んでいる、そして持ち合わせている、人と人との関係性を思い出させてくれます。

 ─宮本さんは、いかがですか。同じ質問ですが。

 宮本 一言で言うと、コーチングは手段でしかありません。「コーチングを使えば、もしかしたら自分の好きなことがわかるかもしれない、前に進めるかもしれない、そして、今よりもクリアになれるかもしれないと感じて、たまたま目の前にあったコーチングを使ってみた」という言い方が一番しっくりきます。
 実際にやってみたら、コーチングは良かったんです。心に効いたんですね。自分が前に進んで、周りに惑わされない本当の自分に近づいた経験ができたので、他の人にも知って欲しいし、体験して欲しいという気持ちが強いです。

 ─例えば、何が良かったんですか。

 宮本 迷っていて自分ではどうにも前に進めなかった時に、何か動くきっかけを与えてくれたという経験が何度も続いたんです。たぶん、どれも一人では解決できないことでした。
 例えば、簡単なことで言うと、〈誰かにありがとうを言う〉ということでも、頭ではそれが良いことだとわかっていても心からそう思えたことがなかった。
 でも、コーチによる何かの質問によってそう思えることができて、実際に行動してみたら、「やっぱりそれは凄いことだったんだ」という体験がありました。そういう繰り返しがよかったのかな。

 ─コーチングによってそんな気づきがあり、身についてきたと?

 宮本 何かが身についた、というより、自分自身に戻っていった感覚が強いですね。そういう意味で凄く有効な手段だと思いました。

 垂水 私の場合、コーチングに出会ったのは、もともとは自分のキャリアを考えていく上でのことです。中小企業診断士という一つの資格試験を終えて、そこが山の頂上だと思っていたものが実は単なる麓だとわかった時に、「自分は本当は何をしたいのか」ということを見つめ直しました。その中でコーチングに出会ったんです。
 私にとってコーチングとは、自分の中の〈心棒〉を掴みにいくような感じです。その心棒の周りには、日常生活にまつわるいろいろなものがこびり付いているわけですが、それを削ぎ落としにいく作業ですね。もう身体ごとぶつかっていく感じです。
 だから、私もコーチとしてかかわる時には、その人の心棒を掴みにいくお手伝いをしています。
 人は、心棒を見つけられないからこそ(考え方や行動が)ブレるし、自分は本当は何がやりたいんだろうかと悩んでいく。その心棒を掴んだ時にこそ、豊かな心を持てるような気がします。

 垂水 ライフプランナーの話をすれば、そこには当然営業の側面があるわけですから、ともすると、数字に管理される、機械的な営業に陥ってしまう可能性があります。
 しかし、コーチングを受けている人は、自分は何のためにライフプランナーという席に座っているのかを客観的に見ることができます。
 一連のWSという場では、ライフプランナーに限らず仕事に携わっている人は皆が望んでいるけれど皆が諦めていること……つまり、こんなことを自分の仕事に対して思えたら嬉しいよねということが、あの場では縮図として現れていたし、彼らも立ち会えた感動があったと思う。もちろん僕も、素敵なことだと思いながら、アシスタントとして拝見させてもらいました。

 ─野村さんは、どうしてコーチングを?

 野村 なぜコーチングをやっているかというと、「人が好きだから」というだけであって、やっぱり単なる手段に過ぎません。WSのリーダーでもいいし、アロマセラピストでも、別に何でもいいんです。
 ただ、私がコーチングを習い始めてよかったと思ったのは、占いや本などのように、他に答えを求めるのを止められたことです。
 結局、誰かから言われたことや本から持ってきたことって、答えてくれた人やその本の著者の人生なんですよ。自分で自分の人生を決められるようになったことが、コーチングをやっていてよかったことです。

 ─林さんはいかがですか。学ぶこと、身に付けることで変化はありましたか。

 林 コーチングに出会って、自分自身、生き方が変わった感じがあります。それまでどんな生き方をしていたかを覚えていないくらいに、今はコーチングが自分の生活の中に当たり前に入ってきています。
 例えば、人にはそれぞれ自分の中に「こう生きたい」という思いがあると思いますが、自分の内側や外側から聞こえてくるさまざまな雑音によって惑わされて、なかなかその思いに気づかないし、どれが本当の気持ちなのかもわかりにくくなっていると思います。
 私はコーチングを受けることによって、その思いがよりクリアになってきて、〈自分の中の真実に従って生きる〉ことができるようになりました。自分の中の真実を常に探し、「これは自分が本当に心から望んでいることなのか」と問いかけることが日常になってきて、時間の密度が濃くなったような気がするというか、同じ時間を過ごしていても以前よりかなり深く自分の人生を味わっているような感じがしています。
 先ほども話に出ましたが、そのための手段は別にコーチングでなくてもいいとは思います。最終的に、その人が自分らしく、本当に自分が望んでいるように生きていくための助けになるものなら何だっていいと思う。
 ただ、コーチングの良い所は、コーチという一緒に歩いてくれる人がいる点です。
 自分一人の考えというのは広いと思っていても実際には狭いことが多いので、コーチがいろいろと視点を変えてくれることで気づくものがたくさんあります。
 また、コーチングは例えば毎週1回ずつといった形で継続して行うところにメリットがあります。それによって自分の人生におけるテーマを常に考えることができますし、回数を重ねれば重ねるほど、自分に対する理解や気づきが深まっていくのです。
 それから一人でいると、新しいことにチャレンジしたり、今まで避けていたものに直面しようとする場合、そこから引き戻そうとする自分の内からの声に負けそうになりますが、コーチが時には励まし、時には叱咤しながらサポートしてくれるので、それに負けずに進むことができます。
 とにかく〈100%自分の味方でいてくれる存在〉が常にそばにいる、という事実はとても有り難く、この仕組みが、コーチングのいいところだと思いますね。

 杉山 ここでちょっとライフプランナーの側からの話をすると、一連のWSに参加したコーチたちに対してとても驚いていたようです。みんな凄く魅力的ですしね。
 コーチングに対する興味も出てきて、その後、個人的にコーチを付けたり、CTIでコーチングのコース(基礎・応用)を申し込む人も4、5人出てきています。
 

 ─平川さんはいかがですか。

 平川 私がコーチングによって何を目指しているのかと言えば、単純に「自分がより良く生きたい」というだけなんです。私が私自身気持ち悪く感じるのは、お互いに目指している方向は一緒なのに傷つけ合ったり、あるいは、本当にしたいことがあるのにそれを我慢していることです。
 誰かが何かにはまり込んでしまって出てこられなくなっている時に、自分がかかわることでその人が元気になり、自分も楽しくなることがあれば、より良く生きることができるのではないかと思うんです。ある意味、自分勝手な感じですけれどね。

 杉山 繰り返しますが、やはり私のキーワードは、「価値観に沿って生きる」ことです。ライフプランナーとしても、一人の人間としても、自分の人生を自分の価値観に沿って生きていくことの素晴らしさを感じてほしい気がします。
 もちろん、それは同時に難しさもあるわけで、価値観通りに生きようとすると、われわれが〈グレムリン〉と呼んでいる障害というか、自分を止める葛藤の声が聞こえてきたりするので、それをどう扱うかを考えていくうえでコーチングは優れていると思います。

 ─皆さんの多くは、実際に個人あるいは企業やスポーツチームのクライアントともコーチ契約していますね。このWSに限らず、継続的なコーチングをする中で、こうしたWSに定期的に参加するクライアントさんがいた場合、彼らに対してどんな変化を感じるものですか。何かが可能になっている感じがしますか。

 高橋 コーチングのセッションを継続していくうちに、自分を振り返り、そこから学び、行動するということが習慣になっているようです。セッションの中で、「こんなことをやったんだ」などという報告を聞くと、あまりに大きなチャレンジをこともなくやり遂げているのにびっくりすることがあります。また、より目標も高くなると同時に、挑戦も大きくなっているように感じます。

 杉山 目標が高くなればなっただけ、グレムリンも大きくなる感じもある?

 高橋 そういう面も確かにあります。それでも、軸がよりしっかりと立ち、必ず立ち上がるという強さも感じますね。これもクライアントさんがコーチングやコミットしたことに誠実に臨んでいるからだと思います。

 ─杉山さんはライフプランナーとしてまずカウンセリングの資格を取り、次にコーチングの資格を取得している。その二つを身に付けたことで自分が変わってきている部分はありますか。

 杉山 どちらも役に立っていますが、自分が実際にカウンセリングを受ける場面というのはほとんどなく、あくまでロールプレーイングなどを通して理論を勉強しただけでした。もちろんセルフカウンセリングはできましたから、結果的に自分を良い状態に保つことはできましたけれどね。
 一方、コーチングに関しては、継続的にセッションを受けることになったので、コーチの力を借りながらライフプランナーとしての自分の方向性を確認することができました。〈何のために仕事をしているか〉という目的が明確になっていない人がこの仕事をしていると、やはり良いセールスができません。私は、ライフプランナーとしての軸がさらにしっかりしたことが良かったと思います。
 また、ライフプランナーは保険だけでなく、保険を通じてお客さまの人生全体を考えていくわけで、人生の中で何を大切にしていらっしゃるか、あるいは人生の軸をどこに置いていらっしゃるかがはっきりしないと、そのお客さまにとって満足度の高い保険設計は難しいと思います。
 そういう意味でセールスマンがコーチングを勉強するということは、保険を通じてお客さまがより良く生きる術をご提供できるようになることでもあります。ライフプランナーが単なるセールスマンにとどまることなく、お客さまに影響を与える存在になることは可能なのかな、と思いますね。

 ─保険に限らず、営業マンがコーチングを習得することの意味は大きそうですね。

 垂水 私も長年、消費財メーカーの営業をしてきたので経験があるのですが、どうも数字を達成することが目的となる、いわば手段が目的化してしまうことってよく起こりえる事だと思うんです。
 もともと、自分なりの思いや使命を感じて、そこに喜びを感じて営業活動をしてきて、その思いが伝わった分だけ数字として反映されるはずなのに、いつの間にかその最初の思いが薄れてきて、数字の達成だけに躍起になってしまう。これはお客さまにとっても悲劇ですが、営業の立場にとっても悲しい姿ですよね。第一、心の奥で自分のことを嫌いになることもあるかもしれません。
 営業としての自分に自信を持つ、ひいては自分という存在に自信を持つためにも、保険営業として、一人の人間として何を成し遂げたいのか? を見つめ、大事にしていくことが大切なんでしょうね。

 平川 自分の経験では、「相手が口には出していない(または出せていない)が、その奥にあるもの」を感じる力が鍛えられると思います。まだ考えが整理できていないからきちんとした言葉にできないことも、そのセンサーが開いていることで、相手が何か違和感を持っていればそれを感じ、「何かがそこにはある」ことや「そしてその何か」を感じ取り、嗅ぎ分ける筋力が鍛えられると思います。そしてその先に「ではその人が本当に望んでいることは何だろうか?」「その人の大事にしている価値観は?」ということをより深く理解することにつながるのではないでしょうか?

 杉山 それを補足すると、そもそもコーチング自体が人生全体を取り扱うものなんです。ライフプランナーにしても、お客さまに対して単に保険商品の選択をお手伝いするのではなく、もっと広く人生全体の中で保険がどう機能していくかという話をしていくわけですから、ライフプランナーがコーチングを学ぶことの意味は凄く大きいと思います。

 高橋 コーチングって、人とのかかわり方だと思うんですね。ご縁あってお会いする方に対して、真剣にかかわろうとするかかわり方のような気がしています。そうしたコーチングのかかわり方は、ライフプランナーの方がお客さまと接する際の土台とも言えるのではないでしょうか。私が顧客の立場であれば、保険は一生かかわり続ける大事なものですので、私の人生全体を見て、価値観に沿った保険商品を一緒に探して下さる方と契約をしたいし、その方と一生のお付き合いができたらとても幸せだと思います。


 ─では最後に、一連のWSを企画運営した杉山さんから、まとめを。

 杉山 あくまで個人的な感想になってしまいますが、コーチングを習い、アメリカにリーダーシップ研修を受けに行く中で、今回出席してくれたメンバーをはじめとして、素晴らしい仲間に出会いました。「日本の保険業界を変革していきたい」という自分の人生プロジェクトを推進していくにあたり、一人ではできないことも、今回参加してくれたメンバーたちがいると実現できる気がします。
 この一連のWSはソニー生命の中だけでやってきたわけですが、これを外に向けて発信していきたい思いが強くなっています。同じ業界の方々には「こういうやり方もある」と知ってもらいたいし、保険営業に携わる人には必要なことだと思っています。        (津田)



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